日常を見直す ~立ち居振る舞い~

 今日は小林正佳 著「踊りと身体の回路」より引用させて頂き、私達の「立ち居振
る舞い」を見直して行きたいと思います。少々長いですがお付き合い下さい↓。

 自分自身のからだを感じとる。緊張を解きほぐし、重心のありかを確かめながらし
っかり動きだす。

 歩くことの練習には、こうしたあらゆる動きの基本が含まれています。

 しかも、自分自身のからだを感じとるためには、心澄まし、気力を充実させなけれ
ばなりません。
 からだを解放することは、心を解き放つことと不可分です。その意味で、「歩く」と
いう日常的な動作がわたしには、単なる準備運動という以上の根本的な意味をもっ
ていたように思われます。

 何はともあれ、歩く措古。などといっても、今さらそんな、と思われる方もあるでし
ょう。
 そんな方は、試しに後ろ向きに歩いてみて下さい。前向きとまったく同じ、とはい
わないまでも、ほとんど前へ進むのと大差なくスムーズに歩けないようなら、それ
は、これからお話するどこかに無理があるからです。

 おおむねそれは、不必要な力を抜くことに関連しています。

 第一に、歩く姿勢。これは、背筋が伸び、しゃんとしていなければなりません。と
いって、通常の「気をつけ」というのとは違います。

 もっと楽に、しかも、背骨の軸が一本びいんと通っている。

 もう少し具体的に書いてみましょう。

 普通わたしたちの背骨は、肢からわずかに弓形を描く形で湾曲しています。背中
丸いとか、逆にお尻が出ているとかということではありません。
 これ自体は悪い姿勢でも何でもなく、いわば極々あたりまえの姿勢なのですが、
いざ動きだそうとすると、このままでは腰からの波動を各部に直接伝えることが出
来ません。

 背骨を腰の真上にしっかり受けとめてこそ、それが一本の軸となり、軸ごとからだ
を動かすことが出来るのです。

 立ったままでは分かりにくいので、仰向けに横になってみて下さい。

 仰向けに横になり、軽く限を閉じ、両手はからだの横。手の平を床において……。
力を抜き、からだ全体に意識を巡らします。

 「カを抜く」といっても漠然としているので、からだの部分部分、余計なカが入って
いないかどうか、楽な状態になっているかどうか、一カ所一カ所静かに意識を巡ら
して観察してみるのです。

 次いで、膝を立てるように、静かに片足ずつ、両足をからだに引きつけます。こう
すると、背中と床との接触面が緩み、腰と肩甲骨との問がわずかに床から離れて
きます。
 片手がさし込めるほどの、アーチ状の隙間が出来るでしょう。特に女性の場合、
この隙間は、男性より大きくなっているはずです。

 ここから背中全体を真っすぐ床面に降ろしてゆくのですが、どすんと背中を押し
つけたのでは、両肩や胸など他の部分にカが入ってしまいます。
 力でからだを動かすというのではなく、あくまでからだの中心から力を及ぼして、
それとの連続で姿勢を変えてゆく。

 ひとつの方法として、まず、臍と、両脚のつけ根のリンパ腺とを結ぶ二等辺三角
形を、からだの中に思い描いてみて下さい。

 三角形を思い描いたら、ふたつのリンパ腺を結んだ三角形の底辺を、ゆっくりお
臍の頂点の方に近づけます。すると、背骨は自然に尾てい骨の方から首筋に向か
って直っすぐ伸び、全体がぴったり床面に接触するはずです。
 これが文字通り背骨が一直線になった状態で、この時の、底辺を引きあげる感
じ、腰、あるいはもっと正確には下腹部、いわゆる丹田と呼ばれる部分で吸い込
む感じが、これからお話するすべての動きの出発点、発動の原動力にもなってき
ます。

 この「吸い込み」をさらに強めると、次第に最初の幾分反り型の靡から丸型の腰
に体型が変わってゆき、少しずつお尻が床から離れます。
 さらに続けると、背骨は再度丸腰から直線に戻り、最後は反り腰になって行き止
まりになりますが、今は最初の、背骨を真っすぐ床面に押しっける感じだけ分かっ
て頂けは結構です。

 この腰の形、極々軽く丹田で吸いあげ、背骨を腰の上に真っすぐ伸ばした姿勢
で立つのです。膝は、幾分緩んでいます。

 さて、この姿勢で歩き始めます。

 両足は、踝がわずかに触れあうかあわないかというほどの平行線。爪先の方向
は、ほぼ前方。
 足裏をしっかり感じとるために、最初はほんのわずか腰を落とし、肩のカを抜き、
とはいえ、前屈みになってはいけません。
 逆に、胸を出すと、背骨はまた元の弓形に戻ってしまいます。気持ちとしては、
幾分やや南扇を落とし気味に、肩甲骨と肩甲骨の間を感じるという位。
 両腕は、からだの揺れにまかせます。歩く、といっても、足を出すというのではな
く、背骨の軸ごと運ぶ感じ。

 思い切りよく、腰から進みます。動きの起点は、あくまで腰。

 腰で歩くつもり。腰の移動につれ、右足から左足へ、左から右へ、からだを支える
支点が交互に移動するだけです。一歩一歩に、確かな重心の移動を感じながら・・・。

 ところで、一歩一歩を踏みしめてゆくという、この際肝心なのは、重みのかかった
足よりも、実は、宙に浮いている足のカが抜け、自由になっているかどうかということ
です。
 重心移動が滑らかに流れるには、次の足、すなわち、重心のかかっていない足が
、腰の移動にぴったり寄り添っていなければなりません。
 敢えて引きつけるわけでも、蹴りだすわけでもない。力みのない自然な足は、着地
の時以外、常に腰のほぼ真下にきているはず。

 不必要なカを抜き、からだの移動にまかせます。

 それでこそこの足は、地面におかれた足にかかった重心が爪先を通過するその間
際、容易に次の一歩となることが出来るのです。
 踵から床面に接触し、実際には幾分外側から内側に包み込む感じで踵から爪先
へ、重心が転がるように移動します。
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               懐かしのバネのおもちゃ「スリンキー」

 ちなみに、普段わたしたちは、自足袋をはいて生活しています。実際の民俗舞踊
の多くが自足袋で演じられるからということもありますが、そればかりではありませ
ん。
 おそらくわたしたちの足裏の感覚自体相当鈍くなっているはずですから、裸足の方
がいいのか、足袋をはいた方がいいのか断定は出来ないのですが、少なくともわた
しには、この方が足裏にかかる重心の在りかを大局的にとらえることが出来る、とい
うのが今のところの印象です。

 ↑以上、引用終わり。

 実は、春風堂も家で石目足袋(滑り難い)を履いています。

 とても、温かく、また指の感覚や足のバランス、重心の位置が分かり易いのがメリ
ットです。
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by cute-qp | 2008-11-17 00:00 | 温故知新