呼吸と伸張

 今まで「呼吸法を使って...」等述べて参りましたが、今回は、「呼吸法」と言うものを
実践する上で大切な「身体の伸張」について少し述べてみようと思います。

 「身体の伸張」は呼吸や意識に伴い、「全身の弾性」を強化することで体幹が必ず
伸張しなければならず、「弾性」があって初めて進み、「張力」となります。

 つまり「張力」が「弾性」を生み、「弾性」が「身体の伸張」を生むと言うことです。

 そこで、身体各部をどのように伸張させるかについて、中国武術の内家拳(身体の
内の働きを重視した拳法。その一つに太極拳があります)における基本的な要訣に
基づきお話します。

(1)虚領頂勁と気沈丹田

 いわゆる「虚領頂勁」とは首のカを頭頂へ向け、抜いて起こすことであり、「気沈
丹田」とは気をしたに向け丹田へ沈めることです。
 この2つが合わさって意識において相反する方向へ開く気持ちが出来、これが
身体を伸張させる感覚となります。

(2)含胸抜背

 含胸は胸部を張り出してはならず、また凹ませてはいけません。胸を背のカを
抜くための柱とするのです。

 なぜなら力学上の(支柱〉は湾曲してはいけないからです。背はこの支柱によっ
て力を抜き、これを背の「抜長」とか「通背」言います。

 これに関し、初学時にはラクダの背になることを抜背と間違え易いです。ラクダ
の背にすると前胸部は必ず凹み、前胸部の支柱作用は失われるだけでなく背に
「抜長」の弾性も失ってしまうはずで、同時に健康にも良くありません。

(3)沈肩墜肘

 沈肩の主な効用は上腕部と肩部を下げることによって上腕を立体的に引き締
め、鎖骨を吊り、上半身の「土台」を作ることです。

 同時に墜肘によって肘と肩の部分間が伸張します。前腕に螺旋の纏糸連動を
させようとする場合、墜肘を中心とします。
 同時に墜肘と坐腕(傾ける〉は肘と前腕の間に伸張を生むことか出来、沈肩墜
肘と坐腕を行うことで腕全体の伸張が可能となります。

(4)締鼠屈膝

 これは足の伸張のことで、足は地面に直立しており伸張は難しいです。

 この下半身の使い方の特徴を、「開股」(円月当)と言ったりしますが、この
表現が勘違いを生み易いので、私は「締鼠」としました。

 「鼠」とは「そけい部」の事です。

 何故なら、本質的な意味は「脚の外側を緩め、内側を充実させる」意味で「ガ
ニ股(外見上のアーチ形)」ではないからです。

 これに膝頭を緩めて旋転する「屈膝」を加え、この足の旋転に手、肩、体幹の
旋転をともない、全身の旋転を、徐々に上昇させます。

 そうすれば根は足にあり、腿に発しし、腰を〈エンジン〉として手指で形を表す
という全身一体の張力になります。

 少し、脱線ですが、人の身体は誰でも同じで、要点も同じ...とは言え、人種に
よってやはり身体の使い方や重心、特徴は異なります。
 例えば、同じ「腰腹を重要視する」とは言え、西洋人・インド人・中国人・日本
人では意識する位置や作り方も違います。

 そのそれぞれを実際、色々なジャンルで使い分け、研究した上で、私は師同
様「健康重視」と「日常回帰」の意味で「能・狂言」の姿勢に近い「腰腹」の作りを
採用しました。

 以上の四つの規則を総括すると、体運動は体幹、手、足と全身を伸張する
必要があります。
 伸張は弾性を生み出すだけでなく、体運動の基本である「張力」になり、精
神を自然に高揚させ、力みすぎて無駄なカを出してしまうような失敗を回避す
る大きなポイントになります。

(5)呼吸による「張力」の連動は人が固有に持つ運動ではない

 「張力」は弾性を生み、弾性を持った「張力」は筋肉自身の弾性だけでなく、
筋肉の弾性の基礎の上に骨格や靭帯などを筋肉と連合させ伸張させた中
で訓練され出来るものです。

 それは人が持つ固有の運動(力の出し方)ではなく長い間練って初めて生
まれるものです。

 無から有へ発展し、有から強に至る...このような弾性の「張力」を練れば、
以上の4つの要訣に従うことになります。

 キーポイントは先ず意識と呼吸、イメージを用い、身体を連動させ、順々に
動きの臨界点を繋げて伸張させて行く事です。

 ですから、呼吸と共に、太極拳は「ゆっくり滑らかに動き」、水泳は「蹴のび」を
大切に練習にし、ヨガは「前提条件とバランス、臨界点を刻々と作りながら」動き
ます(勿論、これだけでなく、全て同じです)。

 今日は(おまけ)がございます↓
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by cute-qp | 2008-11-01 00:01 | バランス運動療法・調整法