相対神経訓練法 ~治療や介護から日常へ向かって~

 現在、自分への課題として定期的に70歳以上の方を拝見させて頂く機会を積極的
に作っているのですが、「老化」と言うのは本当に個人差があり、60歳そこそこでかな
り「お疲れ目」がいらっしゃると思えば、90歳近くても、私が太刀打ち出来ない程お元気
な方がいらっしゃいます。

 そんな風景を通じ、元気な方の「元気の素ってなんだろう?」...とつらつら見て行くに
多少のご病気やご不調があっても「自分の意志で何かをやる!(やらねばならぬ!)」
と言う意識や言動が共通して見える様に思いました。

 対して、「お疲れ目」の方々は、ご不幸にも「大きなご病気」があったり、「事故」に会わ
れた結果、その「意識」や「言動」が持てなくなっておられる気がしました。

 具体的には「身体が思うように動かないともどかしさ」が先ずあって、それが「ストレス」
になったり「身体が利かないのは仕方がない」と諦めを生じさせ、「意志や意欲」を減退
させ物理的にも精神的にも「行動力」を奪って行くのだと思います。

 そう言う場にあって、何がベストな「治療」や「介護」なのか?春風堂なりの考えをお話
したいと思います。

 唐突ですが、私の学ぶ「センタリング呼吸法」で大切なのは「様々な動きや体位を単に
こなせる」事ではありません。
 それは「道具」や「手段」の1つであって、大切なのは「自分の心身の動きを観察し
、自分の現状を見据え、しっかり知ること」
にあります。

 先ず、自分自身の身体の動きをよく観察し、今の自分の身体の「現状」や「限界」を知
ります。

 その状況下、自分の身体(と心)の細部まで意識を向け、どうすれば現状を変え、限界
が広げられるか(どれだけ動かせるか?)を探求して行きます。

 同時に、自分の動きの「無理・無駄」も省いて行きます。

 そうやって自分自身を「体感」しながらセッションを進めて行く事を「センタリング呼吸法」
では大切に考えます。

 具体的には、「骨盤を丸めたり、反らしたり」する際、「量や回数をどれだけやったか?」
ではなく、「自分は今、骨盤を丸め、反らした」、「それで心身が変化した」などを「体感」す
る事です。

 そうして、自分の中に1つ1つ「確かな体感」を作って行く事が「センタリング」の大前提
となります。

 それが「治療」や「介護」、「リハビリ」にも言え、「意識や意欲、言動の減退」と言う現
象は自分の中にある「確かな体感の減少」だと感じます。

 従いまして、最初は、「受動的な形」になるかもしれませんが、「治療家」や「介護士」
の手を借りて「相対神経訓練」を行う事によって、「確かな体感」を自分に取り戻せる
切っ掛けとなると考えています。

 実際、歩く事がお辛く、日常生活に支障が出ている方に対し、誘導しながら「骨盤時計」
と「足首運動」を中心に「神経訓練」と「調整」を行いますと「意識」や「行動」がはっきりし、
改めて、人間の心身って凄さに感想します。

 また、「後遺症」等で「沢山動けない」、「満足に動けない」と仰る方も多いと存じま
すが、その事自体が「センタリング呼吸法」を実践する支障とはなりません。

 何故なら、「身体が思うように動かせない」=「自分自身を丁寧に観察出来る」事でも
あり、実は、健常者よりも「体感し易く」、「上達も早い」のです(そう言う例を沢山見て
来ました)。
 また、「センタリング呼吸法」は呼吸を中心に「必要最小限」で「最短距離」、「余分な
カを使わず丁寧に動き」、「動ける所から動きを作り・繋げて行く」事が基本であるから
です。

 従いまして、「美しく、パーフェクトを目指す」のでなく、「確かな体感」を増やし、
「ご自分の心身を自分に引き寄せて行く(センタリング)」事によって、自然と回
復が図れると思います。


 勿論、ご本人の「たゆまぬ努力」と「根気」が必要ですが、それ次第で結果や可能性
も大きくなり、どんな状況にあろうと「生涯、自分自身を創意工夫出来る!」
と言う自信と体感を持って頂ける!と思います。

 従いまして、介護者の方も要介護の方々の現状を見て「○○出来ない!」と
どうか決めつけないで頂きたいのです
(却って「負の連鎖」にもなりかねません)。

 一方、「相対法」ですから、「介護者の体調管理も図れます」(「正の連鎖」ですね)。

 これは「ペアダンス」や太極拳の「推手」などと同様ですが、自分自身の心身の有り
様がそのまま「お相手」に映る...と言うのが「相対法」の特徴で、要介護者の補
助を通じ、自身の意識と運動を正しく伝える努力を通じ、自らの心身を整えて行
くことが出来ます(それが絶対必要十分条件になりますので)。

 そうして、自分自身を相手に写して観察する習慣が身につくと、身体のバランス
が少し崩れただけでも、事前にそれを関知・対処出来る様になり、要介護者の心身
のバランスを細やかに見られる事にもなります。


 本来、「治療」...マクロに言えば「人間の営み」は全てそう言うものではないか?と思う
春風堂です。

 その為にも、目下、色々なアクセスの仕方や方法を試行している所であります。
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by cute-qp | 2008-08-27 00:00