曲直瀬道三 逸話 ~望診~

 ご紹介致しました「曲直瀬道三」先生につき、ちょっとした逸話がございますのご
紹介致します。

 以下は、東洋医学史研究会様のHPより引用・掲載させて頂きました↓。

 道三が数人の弟子を連れて諸国を遍歴したときのこと・・・道三師弟一行がある海
岸沿いの漁村に差しかかったとき一人の少年に出会い、その少年の顔を見て道三
は驚いた。

 と言うのも、その少年の顔にはっきりと「死相」が現れていたからである。

 少年の顔色は青白くくすんでいた。たち振る舞いには特別変わったところはなか
ったが、道三から見ればそれはまさに死期の迫った病人の顔であった。

 そこで、道三はその少年に「宿を問い」少年は道三一行を自分の家に案内した。

 弟子は直ぐさま、宿場町に泊まる手筈している旨を伝えたが、今宵はこの子の家
にどうしても泊まらなければならと語った。道三以外は、だれもこの少年の異変に
気づいていなかったのである。

 村中に足を踏み入れると、道三は周囲に漂う異様な気を感じとった。すれ違う村
人の中に少年と同じように顔に死相が現れている者が幾人もみうけられたからで
ある。
 そして・・・少年の家でも、両親や幼い兄弟達の様子をみると皆その顔に死相が
現れていた。

 このように人の顔色の変化をみて診断(望診)することは中国から渡来した医術
の奥義であって、まさに名医の優れた技量を意味するものであった。当時は、直
接脈を診て病状を知る術さえも、そうした高度な診断法には及ばない技量とされ
ていた。


 道三はいよいよ不審に思い、その少年と家族全員の脈を弟子たちに診させたが
いずれも精気が失われようとする死脈であった。

 何人もの者が一様に死脈というのは有り得ないことである。死相が出ていながら
、病人のように床に伏せっているわけでもなく・・・これには道三も考え込んでしまう。

 道三はそのまま屋外に出ると浜辺へとゆっくりと足を進め、絶え間なく浜辺にうち
寄せる波を一心に見つめ、一瞬閃くものがあった。

 道三は意を決すると漁師の家族はもとより、村中の者に近くの山へ非難するように
すすめた。
 村中は騒然となり、旅医者の狂言として嘲笑する者、怯えて座り込んでしまう者と
上へ下への大騒ぎ・・・それでも村人の半数近くは道三の言葉に従って近くの山へ
避難した。

 非難した村人は不安げに山の上から村の様子を窺っていたが、穏やかな海や村
の眺望には何の変化もなかった。が・・・

 「大きな波がやってくるよー!」

 突然の子供の叫び声に一同は海の彼方に目をやった。遥か彼方に水平線に黒々
とした巨大な波の壁が見えた。

 果たして不気味な海鳴りがしたかと思うまもなく泡立つ大波が周辺の海岸に襲い
かかってきた。小さな村は一瞬のうちに大波の渦に飲み込まれ一たまりもない。

 山上から、道三は一部始終を見ていた。大波がすべてを押し流し飲み込んでいっ
たのである。

 そして・・・道三の足下で震えている少年の顔にはもはや死相はなかった。津波か
ら逃れた村人達の顔からも死相がすべて嘘のように消え去っていた。

 ↑以上、引用終わり。

 「逸話」の真偽の程は私には分かりかねますが、「望診」はとても大切な事で、
それに優れた曲直瀬先生だったからこそ、この様な逸話が残っている様に思いま
す。
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by cute-qp | 2008-08-09 00:00