「板につく」

 今年は「歩法」のお稽古から始めています。

 先週の土曜日は、歌舞伎の「六方」よろしく、「股関節の動き」をクローズアップしたお稽古
をしたお陰で、また「振り出しに戻る」...しかし、感覚が変わり、また、自分を取り巻く世界観
も変わって来ました。

 それを受け、本日も能舞台へ。

 ちょっとはましになったかな...思いきや、気付けば気付くほど、居心地が悪く、シンプル過ぎ
て様にも話にもならな~い。

 何とか「最初の第一歩」、「足掛かり」、「落ち着き所」が欲しい気で一杯でした。

 そんな中...ゆっくり「左右」(左右の腕の動きに伴い、左へ2歩、右へ2歩出る動き)で体重
移動を味わう事を繰り返していた時、ハッと気が付きました。
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 「ああ、これが"ハコビ"なんだ」と。

 例えば、一般的イメージで左足前から「スリ足」をすると、進もうとする左足が後ろにある
右足を「ズルズル引きずったり」、右足が左足を「蹴り・押し出す」する形になって、「ヨタヨタ
歩き」や「ズルズル歩き」、「アヒル歩き」などになってしまいます。

 そこで、右足を地面からの反力で「(左足を運ぶ)ハコビ足」に、左足が「ハコバレ足」にする
と、「ハコバレ足」は「湖面」を滑る様に床を安定して行き、その左右の立替で重心が安定した
形で「ハコビ」が成立します(「ハコビ足」・「ハコバレ足」は便宜上の造語です)。

 生まれて初めて「板につく」感覚を得た経験でした。

 途端、自分に「拠り所」と心と身体の余裕、「何故、その動き、歩数になるか?」などが自然
に腑に落ちて来ました。

 多分、「ハコビ」は、土曜日のお稽古で言う「鉄球"運び"」に相当し、これを練っていないと
他を幾らやっても無意味との教えが今、良く分かります。

 互いに、この感覚を繊細・厳密に練る必要があり、かなりキツイものがあります。

 「体力」もそうですが、「精神力」や「意識力」、「集中力」にかなりの負荷が掛ります。

 なので、激しく動く「修羅物」の様な演目より、動きが小さくたおやかな「女性」を演じる方
が演者にとっては「必死」なのだそうです。

 現在、私の学びが「猩々」→「高砂」→「屋島」の流れにいるのも、まだ動ける若い内に、大き
く上下前後左右に動く型を消化し、将来、これを内へと集約させて行く素地を作る為です。

 伸び伸びと「ハコビ」を練りながら一通りの「カマエ」を構築する感覚は、新陰流の外伝試合
勢法「相雷刀八勢」・「中段十四勢」付近のニュアンス?に似ているかもしれません。

 「強い型を真綿で包む(梅若実聞書より)」のが流儀の理想だそうです(楊式太極拳の「綿中
針」に彷彿とする表現でした)。

 古典芸能の世界では御高齢でも「現役」とか、「ご長寿」が多い様にお見受けしますが、その
理由を垣間見た気がします。

 バランス運動療法(Balance Movement Therapy) 春風堂

(参考)
 「歩みにも 深き習の 有るぞかし」
 「重心を下げる一方で、ヒップアップする」
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by cute-qp | 2011-01-12 00:00 | バランス運動療法・調整法