呼吸するのは当たり前?

 今日はヨガの成瀬正春先生と女優さんの対談から引用、ご紹介致します↓。

自己観察能力を高めるために

  - 呼吸法を実践することで、どのような効果があるのですか?

 成瀬 まず、自分への観察能力を高めるために行います。これは、ヨーガだけに限ったことで
     はなく、フリーダイビングでも同じことが言えると思いますが、自分自身の状態を知るこ
     とはとても大切なのです。ただ、呼吸は意識しなくても生まれてから今日まで行ってき
     ていますから、一般の人は、思い切り100メートルを走ったときや、緊張によって呼吸
     が早くなったときなどに意識する程度だと思います。その普段、意識しない呼吸に意識
     を向けることで自然と呼吸が深くなりますから、1日の中で自分の呼吸に意識を向ける
     ことで自分への観察能力が高まるのです。


     もう一つ大切なことは、吐くことですね。僕は水の中のことは専門ではありませんが、
     例えば、水泳で息継ぎをする際、少し吐いてからでなければ吸えないですよね。止め
     ていていきなり吸うことは、難しいことだと思います。またよくラジオ体操などで「深呼
     吸しましょう」といいますが、あれは深呼吸とは言えませんよね。深く吸うためにはまず
     吐かなければ吸えませんから。

 高樹 私の場合、劇団の方のように呼吸法や発声法を学んできたわけではありませんが、
     20年間の女優生活の中で自然と呼吸法を身につけていたのかもしれません。芝居で
     は呼吸や自分を客観的にみることはとても大切なのです。私には20年間の基礎があ
     ったので呼吸法や瞑想法を早く習得できたのかもしれません。

呼吸法がもたらす効果

 - お芝居には何か影響はありましたか?

 高樹 芝居とヨーガは別物ですから直接はありませんが、ただ、コントロール能力が昔よりつ
     きました。楽屋では普通の状態でいるのに、役になった瞬間に怒ったり泣いたりしなけ
     ればいけない芝居では、感情が先ではなく意識を先行させなければなりません。

 - その意識を導き出すのが呼吸ですか?

 成瀬 そうですね、呼吸と意識はかなり関係していますし、意識と呼吸の相互作用と言える
     でしょうね。


 - では、体質などには何か変化はありましたか?

 高樹 100パーセント変わりましたね。女優だけをしていた頃には、頭が痛かったり、肩が
     凝っていたりと何となく体がだるかったので、車で行動したり、タクシーを使ったりして
     いました。でも、今は違います。今日も午前中、トレーニングをして車泉駅まで来たの
     ですが、東京駅からここ(銀座)まで歩いてきましたから。以前の私ならタクシーに乗
     っていたと思いますよ。 また、食生活も変わりましたね。だんだんお肉を食べなくな
     りましたよ。体が欲しがらなくなりましたね。

 成瀬 ヨーガを続けるとそういう体質になっていくんですよ。

 高橋 そうなんですよね。不思議なんですけど、そっなっていくんですよね。

 - 自然に体質が変化していくのですか?「今日からお肉は食べない」というのではなく?

 高樹 急には無理だと思います。私の場合、以前の食生活と比較すれば、お肉を食べる
     機会は減りましたが、それでも今も食べますから。

 成瀬 意識的に減らしていくのではなく、健康を維持する目的で呼吸法を取り入れていくと
     、呼吸が深くなるので体質が変わってくるんですよ。
文明開化以降の日本では、肉
     イコールご馳走として定着しましたが、西洋人に比べ、体質的にももともと肉食の傾
     向は少ないので、呼吸法を取り入れていくことによって、体が本来の姿に気づいてい
     くのです。

 - 意識しなくても呼吸は常に行っているものですから、呼吸に意識を向けることはとても
   難しいことのように思いますが。

 成瀬 普通は、なかなか難しいことだとは思いますね。ただ、高樹さんのように必要になれ
     ばやりますよ。フリーダイビングでは、呼吸法は必要なものですから。

 - 呼吸法を取り入れたことで、フリーダイビングにはどのような効果がみられましたか?

 高樹 まず、水中という我々が普段生活する領域以外のところへ潜り、自分が息を吸いた
     いときに吸えないことは、正直とても苦しいことです。ただ、さきほど言った1対4対2
     の呼吸法など、訓練していくうちに自分の呼吸をコントロールできるようになります。

 - 確か、高樹さんは4分20秒という記録をお持ちでしたよね?

 高樹 そうです。4分20秒。

 - 長く息を止めることへの恐怖心はありませんか?

 高樹 長く息を止めることより、むしろ深さへの恐怖心はありますね。プールで息を4分20
     秒止めることと水深53メートルに潜ることでは恐怖心が違いますね。ただ、その恐怖
     心への克服には瞑想や、ろうそく1点見や目を閉じた片足立ちや逆立ちなどが役立ち
     ました。

 - なぜ、そのようなトレーニングが必要なのですか?

 高樹 地球上のものすべてが動いている中で私だけがとどまるということは、とても難しいこ
     とだと思います。自分自身の細胞や空気中の見えないものなど宇宙のすべてのもの
     が、いつも動いているわけじゃないですか。その中で自分だけがとどまることは、とて
     も無理なことだと思います。ただ、それは訓練で、今日は5分できた、明日は6分やっ
     てみようというように少しずつ記録を伸ばしていくことが大切なのだと思いますね。


 成瀬 そうそう、それがさっき言った胆力ということなんですよ。ここ一番というときに諦めて
     しまうか、乗り越えるかということの違いですね。それを少しずつ乗り越えていくことで
     高樹さんの記録のように4分20秒間、息を止めることができるようになるわけですか
     ら。いきなり4分も息を止めることなんてできませんからね。

 高樹 そうですね。いきなりなんて無理ですね。

胆力を鍛えるために

 - "胆力"とは、具体的にどのようなことをいうのですか?

 成瀬 ここ一番という場面での気力ですよね。何事にも共通することだと思いますが、例え
     ば、オリンピックでの100メートル走。ファイナルに残った人は、0コンマ何秒の世界
     で、実力も互角ですよね。オリンピックの大舞台で勝つか負けるかは、結局、最終的
     には胆力だと僕は思います。

     ですから、高樹さんのようにワールドカップで53メートルまで潜るときにも胆力が必
     要となるのです。

 高樹 そうですね。呼吸ができないって本当に苦しいですし、体中が「空気を吸って」とエネ
     ルギーを送ってくるわけですが、そこで顔を水中からあげて息を吸ってしまえば、ワ
     ールドカップヘは行けないわけですし、そこでどうするかということだと思うんですよ
     ね。

 成瀬 「これを乗り越えたら」と、トータルにみて生きることを楽しむことが大切だと思います
     ね。


 - 乗り越えた先にこそ得られるものがあるということですね。

 ↑以上、引用終わり。

 皆さんご存じの通り、20数年ぶりに水泳を再開して1年と少し経ち...そこで改めて気付い
た事が「重力(浮力)の存在」と「呼吸の感覚」。

 特に、「呼吸」は余りにも身近に、普通に自分と共に「存在」していたので、それが出来る
事が「当たり前でない」環境に置かれた事で色々と「呼吸」を見直す切っ掛けとなりました。

 最近では「呼吸圧ポンピング泳法?」と言うか、呼吸の仕方で水中運動を行う様な切り口
で練習しています。

 実は、私は50mで1・2回しか息継ぎをしません。

 「競技」や「記録」を目標・ターゲットにしていないので、色々、分かって来ると度々「息継ぎ」
しなくても、しんどくなくなって来ました(ストローク数も最小で25m当たり7回になりました)。

 「薄筋を締め、息を継ぎ、お腹に導く」
 「息を胸から首へ上げる」
 「保息してストリームラインをベストポジションにし、身体を吊るす」
 「鎖骨を緩め、息を吐きながら伸び、重さを前に伝える」
 「薄筋を締め、残った息を再び腹に集約する」⇔若しくは「薄筋を締め、息を継ぎ、お腹に
 導く」

 「ストリームラインの形成」や「重心移動」、「吊るす」意味での「保息」
 「息継ぎ」や「ポンプ運動の循環」の意味での「吐く」             

 この2点の質が特に大切...。

 「息継ぎ」と言うと「恐怖感」や「苦しさ」からついつい「あがいて息を吸おう」とするのですが
、水中で運動と共に息を少しずつ吐きつつ、「息継ぎ」の際に残りの息を吐くと「自然に」必要
なだけの息が身体に入って来るのが印象的...。

 総じて、「息継ぎ」だけが「呼吸」とは言えないと感じたりしています

 東洋体育では「内功」、中国武術では「内家拳」などと呼ばれるものがありますが、多分
、その延長線上にあるものではないか?と思います。

 その辺を意識して「刀」を振ったり、「太極棒」や「竹踏み」、「ストレッチ」などにも取り組んで
いる所です。

 ちなみに...呼吸が当たり前でないと思うようになって、最近、泳ぎながら「陸に上がった魚」
と言われる「ユーステノプテロン」を良く思い出します。
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 「ユーステノプテロン」(Eusthenopteron) は、古生代デボン紀後期の約3億8500万
年前に北アメリカおよびヨーロッパに生息していた魚類で、四肢動物の祖に近縁といわれ
たものの一つです。

 また、当時彼らが生息していた場所は海浜の潟湖などの気水域だったと推定され、こうし
た場所は潮の満ち引きなどにより環境の変化が著しく、水の流れが滞って酸欠状態に陥る
為、現在の肺魚と同じように空気を飲み込み、肺で呼吸をしていたと考えられています。

 さらには、鰭内部の骨や背骨、頭骨の構造が最古の両生類に近い特徴を示しており、両
生類の直接的祖先の近縁と見なされています。

 陸に上がった理由が本当にそうなのか?知りませんが、未知の領域で呼吸しよう!と
思った「必要性」や「好奇心」、「チャレンジ精神」?(そんなものがあったのか?知りません
が:笑)私達に繋がっている様でとても興味深く思っています。

 「胆力?」の成せる技なのでしょうか?

 等々...の意味で、この対談を非常に共感・実感を持って読ませて頂きました。

 私達の思う「当たり前」は本当はどれだけあるのでしょう?・・・「有り難い」ものの
方が実は多い気がする春風堂です(笑)。

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by cute-qp | 2009-11-10 00:00 | 温故知新