日本舞踊と身体 (2)

 昨夜に引き続き、演劇出版社刊 「日本舞踊入門」より「日本舞踊と身体」を引用・掲載
させて頂きます。

膝・足首の空間

 舞踊と民族の関係には強いものがある。日本人の習慣・風俗は、日本人独特の身体を
作りあげている。

 日本の民俗芸能や能や歌舞伎をみていても解るように、すべて、膝が曲がった空間で
ある。
 日本人は″膝小僧々と親しんでいるように、膝頭の出方が大きいしたくましい。長年の
坐りや下駄ばきの生活によるものだろうが、膝・足首の力が強いのである。

 野球のピッチャーの投げるフォームを「外人独特のフォーム」という記事をよくみかける。
野球は、もともとアメリカのもので、外人独特々という表現はおかしいが、日本人のフォー
ムとはまるで違う。

 一つに、膝の使い方、膝のカを利用する投げ方が違うのである。

 特に、ハイヒールをはいた人の歩きかたが顛著である。西欧の人は、ぐっと重心が上へ
上がって膝が伸びるが、日本人は、膝が曲がるので、くの字で歩く人が多い。

 『三社祭』 や 『うかれ坊主』 は、よく、洋舞の動きと比較されるが、錦絵をみても膝や
足首は曲がったままで、この方に持ち味や美学をみせている。
 近年、足首を伸ばしたり、腰を伸ばしたりする動作をよくみかける。この方に美学をみい出
すのは、近代の悪弊といっていい。
 洋舞で訓練された人が民俗芸能を踊ると、膝が開かず、まがらない。膝で締るカ、訓練が
ないのである。

 ″舞踏”がフランスで異常な人気を受けているが、異国趣味と同時に、膝と足首の空間の
もつ「肉体」の美学も一つにはあると思う。

 日本舞踊を訓練して来た人は、日本舞踊を踊るための身体が出来ているわけで、新しい
踊りを踊るからといって、急に洋舞の技法をまねてもいい作品が出来るはずがない。

 舞踊の根本にある「肉体」の表現技法を充分に把握した上で、舞踊表現を心掛けなければ
ならない。

 その時、日本舞踊の身体的特長である膝や足首の空間の占める位置は重要である。

(参考)
 芸術的な骨盤時計
 日常を見直す ~立ち居振る舞い~
 バランス感覚を磨く (1)
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by cute-qp | 2009-02-18 00:00 | 温故知新