構図とバランス感覚  ~ 歌川広重を観る ~

 元々、春風堂は美術館や博物館が大好きなのですが、「医療人」として、絵画や彫刻
等に「構図」や「バランス」を観ることも勉強や興味の1つとなっています。

 そこで、今日は「歌川(安藤)広重」をご紹介致します。

 「東海道五十三次」で人気を得た広重は、風景、名所のシリーズものを刊行。
 「近江八景」「京都名所之内」「江戸近郊八景」溪斎英泉との共著「木曽海道
六十九次」などなど次々と発表、晩年60才で制作を開始した「名所江戸百景」
を完成させます。
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         名所江戸百景 亀戸梅屋舗(ゴッホが模写した事でも知られる)

 今となっても本当に大胆、斬新な構図ですね。梅の枝が観る者に「刺さりそう」に
見えますし、花の向きの描写も絶妙で、梅が匂い立つ感じがします。
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                    名所江戸百景 深川万年橋

 「亀と富士山」・・・額縁になっているのは「手桶」でその奥が「橋の欄干」・・・実際には
妙な取り合わせですが、この構図が最高ですね。
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                  名所江戸百景「上野山内月の松」
 この「輪っかな枝」は何なのでしょう?・・・ちなみに、最近、人気の伊藤若沖の絵にも
この様な構図の枝の植物が出て来ます。

 そして、「わっか」な枝を「ジェットクコースター」の様に見回したり、ついつい・・・その間
を除きたくなります(笑)。

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                 東海道五十三次 岡部 宇津之山

 よく見ると、ルネッサンス絵画の遠近法と異なり、絵の中のキャラクターサイズが
えらくまちまちです(笑)。

 でも、このデフォルメがこの絵をよりダイナミックでスリリングなものとしている気が
します。何だかその・・・峠が「ぐん!」と迫って見えますね。

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                  名所江戸百景 四ツ谷内藤新宿

 「馬の尾」・・・余りに大胆な構図が「宿場」の臨場感を醸し出しています(上方落語の
「馬の尾」を思い出します)。

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                     名所江戸百景 月の岬

 お座敷風景であります。直接、そこに集う人が描かれていないのに、畳に残され
た人々の体温を感じるのは私だけでしょうか?

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                   名所江戸百景 深川洲崎十万坪

 凄いですね。これぞ本当の「鳥瞰」で・・・この絵を見ている自分自身が「鷲」になっ
て観ている錯覚さえ感じます。

 そして・・・江戸の街は完全にこの「鷲=私」の支配下にあります(笑)。

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                   名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣

 窓際にひょいと置かれた手ぬぐいや湯飲みが人の気配を感じさせ、この絵を見る
人も「酉の市」を窓越しに眺めている様な気にさせてくれます。

 その横で、人の事など完全に無視し、物知り顔で外を眺めているネコの姿が何と
も憎らしいです(笑)。

 等々...上げればきりがございませんが、こんな風に愉しみながら勉強しております。

 そして、皆様を拝見する際、その「病名」でなく、ふと、この様な視点で状況を拝見す
る自分がおり、生き生きとした人の心と身体を感じております。
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by cute-qp | 2009-01-05 00:00