佐川先生語録 (2)

 昨夜に引き続き、「佐川先生語録」をお送り致します。

「体さばき」

 「相撲取りなんかに対しては、どうなさいますか」

 「合気と足さばきで対処できるね。相手が飛び出してくるとき、まだカを発揮しない
出ばなへ先に踏みこみ、合気で力を抜いてしまうんだ」

                        ○

 先生は、「一歩ですよ」「一歩出れば斬られない」「すべて一歩」といった。一歩さが
ると相手の望む間合に身を置くことになる。反対に一歩出ると、相手はどうすることも
できなくなる。身動きを封じられるのである。先生はいった。

 「二本足で立つ者はかならず倒れるという理がわかったのは、七十歳ぐらいになって
からだ。角度が大切だね。合気の術はこれとは別だよ。私のはこの二本立てともいえ
るね。

                        ○

 高橋氏は刀で佐川先生に斬りかかり、突きかかると、剣が先生の体に触れる寸前
に、先生の体が消えるという、ふしぎな体験をしたという。
 どこへ消えたのかまったく分らない。自分の刀が空しく空間を斬り、突いているあい
だに、左右、直前、後方から先生に自在に斬られている。高橋氏はそれを「音無し
勝負」といった。

 内野氏は、先生が相手の突きをかわすひそかな稽古をしていたのを知っている。
物差しを自分の顔の中心に立て、前からコインを投げさせ、あわせるように動くとかな

ず当る。

 これをヒントにして佐川先生は相手の突きをかならずかわす方法を修得したので
ある。

 あるとき木村氏は道場で質問した。
「突きや蹴りを自由によけるには、どのように練習したらいいのでしょうか」

 先生は答えた。
「爪先で動くことと、力まないことに気をつければいいでしょう。体が自由自在に動くと
いうことが大切だが、それとこの二つができるようになると、体がどうにでも対応でき
るようになってくるよ。」

「番外編」

 「木村さんは柔らかく力強くやられるといいでしょう。手や肘に一切力を入れず
、相手にぶつからないところを動いてゆく。相手の腹ヘズッと入れる。
 持たれた手は、相手に密着させる。すべては丹田からの動きである。つかまれた
所はあえて離そうとせず、そのまま崩すことを考えなければならない」

 木村氏は道場からの帰途、喫茶店で小原氏と話しあった。小原氏は語った。

「私はかならずしも先生の多くを見たのではなく、その日のポイントは何だったか、
その日一番大切なことは何だったかという日で見てきました」

(中略)

 「合気揚げ、相手の手にいかにくっついてゆくか、その辺の感覚は自得する以外
にはない。大東流で一番大切なのは崩し(合気)です。どんな稽古をしていても、
崩しを念頭に入れておく。合気揚げで、相手の手にいかにくっついてゆくか、その辺
の感覚は自得する以外にない。

 相手の手をおさえるとき、肩や肘を楽にして腹でおさえる。そうすると腹が練れてき
て、敵の突きのスピードに入ってしまえる。

 試合はどうしてもその場の勝敗にこだわってしまって、もっと大事なものを失ってし
まうでしょう。私は柔道家やその他の人と試合したが、大東流として勝負しました。

 つまり、ただ殴りあいとかやっつけるというのではなく、相手に心から参ったといわ
せるようにしました。

 ただ勝てばいいというよりも、先生のような技を遣えるようになりたいという気持が
大事なんじゃないでしょうか。」

↑以上、引用終わり。

 ここまで見てきますと、先生は「見せている」だけでなく、言うべき人にはキチンと
「教えておられた」のだと感じました。

 それだけに、「後は自分次第」と言うのが先生の本音でしょうか?

 そして...佐川先生は凄いな!と思うと同時に、個人的には、何か「伝記本」から思わ
ず「核心」や「虚実」が出て来た気がします(笑)。

 加えて、今回、掲載させて頂いた文章にも度々出て来ました「小原さん」ですが、その
感覚の良さが伺える文章だと思いました。
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by cute-qp | 2009-01-09 00:00